この度、和の心 夢戯屋を開店いたしました。どうぞよろしくお願いいたします。
私のようなアナログ人間がネット上でショップを持つなど、数年前には考えもしなかったことです。
しかしながら、好むと好まざるとにかかわらず、IT化、デジタル化の流れは止めることはできないでしょう。
その一方で、古来からの日本の伝統工芸は売上げの減少や後継者不足で消えていくところも多いようです。
日本の伝統工芸には本当にすばらしいものが多く、私にもこんな経験があります。私の母親は古い硬貨を集めていて、あるときデパートのコイン商が硬貨を高価買取するという広告を見て、この機会に売ってしまおうということになりました。
普 通このような場合、広告に出ている買取価格は最高の状態のものであり、大抵はずっと安い価格になってしまうものです。でも私たちが持っていった硬貨はその 最高の価格で買ってもらえました。店の方も、どのように保存していたのか不思議そうに聞いてきました。普通はシミや変色が出るものだそうです。
そ のときは解らなかったのですが、後に家具業界に入ったとき、その理由がわかりました。母親は硬貨を桐ダンスに入れて保存していたのです。桐ダンスは、木自 体が湿気を吸ったり吐いたりして、内部を常に最高の状態にして、中の着物などを守ってくれます。また、火事などにあっても、桐ダンスは真っ黒に焼けても中 の着物は無事だったという話もよくききます。
桐ダンスが硬貨を最高の状態に保ってくれたのだと思います。
このようなすばらしい箪笥を持っているのは、おそらく日本人だけでしょう。
その他にも、陶磁器、漆器、絵画など日本の伝統工芸にはすばらしいものがたくさんあります。伊万里焼がマイセンに大きな影響を与えたのは承知の事実ですし、浮世絵がなければロートレックやゴッホの名画も生まれなかったかもしれません。
和の心 夢戯屋では現代にもマッチした日本の職人の技をご紹介していきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いします。